9月26日に、パリの社会運動団体DAL(住宅への権利運動)が竪川と渋谷での地下駐と美竹公園、宮下公園からの野宿者排除と、活動家に対する弾圧に抗議して、パリの日本文化会館ロビーを占拠しました。今、大使館周辺は警戒が厳しくてとても近づけないし、これまでに何回か大使館には申し入れをしているのですが、いつも門前払いでした。
この会館は国際交流基金が運営しているのですが、日本とフランスの交流活動を目的にしていることと、弾圧問題ではデモを弾圧することは表現の自由に対する弾圧であり、フランスに拠点をおく機関として、日本政府に対する抗議にあたって支援してほしい、という意味での占拠でした。副館長がでてきて、大使館にとりつぐという約束をとりつけました。
参加した50人ぐらいのDALのホームレス家族の当事者たちが、「日本の持たざる者と連帯!」というスローガンを会館内で連呼し、日本人の参加がほとんどなかったため、警察にはつけられていたのですが、行き先がまさか日本文化会館だとは思っていなかったようで、機動隊の到着も大幅に遅れ、強制排除されることなく、一連の行動を終えました。
DALの活動家は2010年3月に渋谷のちかちゅうの抗議行動に参加し、当面は夜間閉鎖しないという約束を区役所からとりつけた場面にもいました。美竹公園での炊き出しや野営にも参加し、宮下公園では集会も行いました。そのため、ここ数ヶ月の東京での野宿者排除の状況に対して、現場にかけつけることができないので、パリから抗議行動をしたいという発案があり、実現しました。
DALの当事者の女性たちはバギーで子どもを連れての参加なので、バリアフルなパリの地下鉄の移動だけでもとても大変なのに、直接、彼女たちの住宅問題を解決するわけではない日本の問題への連帯行動に大勢が参加してくれました。
それは、自分たちも毎日、子どもを連れてその日眠る場所を探すために奔走して、安心して帰ることができる場所がないつらさを日々経験しているため、他に行き場がないがゆえに公園に寝泊まりしている日本の野宿者たちが、そこから排除されることを人ごととは思えないためだと思います。また、自分たちも市役所での抗議行動や直談判は日常的にやっていて、ときに全員警察署につれていかれて勾留されることもあるので(数時間で解放されますが)、生きるための場所を要求する抗議行動が犯罪であるかのように警察が取り締まることへの怒りも人ごとではなく実感しているためだと思います。
DALの日本政府への要求は以下です。
1.日本政府は社会権規約を遵守し、野宿者の公園からの強制排除をやめること。
2.野宿の当事者が納得できる解決策を講じるための話し合いに応じ、人権を尊重した解決策を提示すること。
3.人の命を尊重を求めるデモは犯罪ではありえず、基本的人権である表現の自由を尊重し、逮捕され、起訴された活動家を無罪で解放すること。
*DALは過去にも大阪での靫公園、長居公園からの野宿者の排除に抗議して、パリ日本文化会館や大阪市パリ経済部、世界陸上連盟事務所の占拠、日本大使館に対する申し入れ行動などを行ってきました。